| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-309  (Poster presentation)

ハッカハムシによる食草探索因子としてのミント由来揮発性物質【A】
Mint-derived volatile compounds as host location factors utilized by the mint leaf beetle(Chrysolina exanthematica)【A】

*川村優斗, 秋野順治(京都工芸繊維大学)
*Yuto KAWAMURA, Toshiharu AKINO(Kyoto Institute of Technology)

 植食性昆虫は、ホスト植物に由来する特定の化学物質を指標に食草探索を行うものが多い。その食性は幼虫期と成虫期で変化するものも多いが、ハムシ科は食性が変化せず、幼虫・成虫が共に同じホスト植物を食する特性をもつ。ヨーロッパ産のChrysolina herbacea では成虫の食草探索に関する研究が進められており、食草であるハッカMentha属由来の揮発性成分に定位することが報告されている。同じくハッカ属を含むシソ科植物の一部を食草とするハッカハムシC. exanthematicaに関しては、その食草探索・認識に関わる知見が乏しい。本研究ではハッカハムシの成虫に着目し、食草であるアップルミントM. suaveolensに対する食草探索因子の解明を試みた。検証は、Y字管と小型風洞を用いたアッセイ方法でおこなったが、アップルミントの生葉を提示した場合においても、Y字管アッセイでは反応個体数が少なく、その効果を判定することができなかった。一方小型風洞試験では、風上側に金属製の網籠内にアップルミント生葉を入れて提示したところ、供試したハッカハムシの約51.7%が反応し、うち約54.8%で網籠への接触が確認された。網目は十分に細かいため、ハッカハムシは生葉由来の揮発性成分に反応したものと考えられる。そこで、生葉のエーテル抽出液をろ紙に浸透させて提示すると供試虫の約12.5%が網籠に接触し、その反応率は生葉の場合よりも低いものの誘引・定位活性が認められた。さらに生葉由来の揮発性成分をSPME 法で捕集してGC分析を行ったところ、保持指標値1600以下の複数成分が検出され、GC-MS分析の結果と照合すると、ハッカ属特有成分を含む複数のテルペノイド化合物の存在が示唆された。これらの物質のいずれかがハッカハムシの定位行動を解発する可能性があり、今後具体的な検証が必要である。


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