| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-323  (Poster presentation)

草原における土地管理法の違いがバッタ類の多様性及び植生構造に与える影響【A】
The effects of different land management methods on Orthoptera diversity and vegetation structure in grasslands【A】

*栗原大樹, 安立美奈子(東邦大学大学院)
*DAIKI KURIBARA, MINAKO ADACHI(Toho University)

日本の草原は、人為的管理により森林への遷移が抑制されてきた半自然草原であり、高い生物多様性を有している。高度経済成長期以降には、人間活動の変化によって草原が維持されなくなり面積は著しく減少している。しかし、近年ではグリーンインフラなどの社会的観点からの価値が再評価され、各地で保全活動が進められている。草原生態系を利用する生物の中でもバッタは主要な植物の消費者であり、両生類や爬虫類、鳥類における餌資源となるため、生態系の食物網の重要な役割を担っている。そのため、植生構造の変化に敏感に応答する指標分類群であるが、草原の管理形態の違いがバッタに及ぼす影響を同一地点で評価した研究は少ない。本研究では、草刈りの時期と頻度がバッタの種多様性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。
本研究は、千葉県佐倉市にある周囲を森林と水田で囲まれた半自然草原を調査地とした。主な優占種はミゾソバ、イヌコウジュ、エノコログサなどである。2025年の5月に10m×10mの6月刈り取り区、9月刈り取り区、2回刈り取り区、無処理区の4区画を設置し、5月から11月に植生とバッタの調査を行った。植生調査は、種数、被度、草丈、バイオマスを計測した。バッタは毎月1回、不織布で作成した枠で捕獲した個体数と種数を調査した。
調査期間内に、全てのプロットにおいて合計で植物42種、バッタ7科18種1109個体が確認された。植物バイオマスと被度は、6月刈り取り区は11月の調査では無処理区と同程度回復したのに対して、9月に草刈りをした2区では大幅な減少が確認された。バッタの種数と個体数は、6月に刈り取りした2区画では刈り取り後に増加した。また、Shannon-Wienerの多様度指数も夏に刈り取りを行った2区画で高い傾向を示した。以上より、夏の刈り取りはバッタの多様性を高め、且つ植生に対する負の影響も殆どないことが示唆された。


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