| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-324  (Poster presentation)

水草の水面開花が生物の行動に与える機能的効果の検証【A】
Experimental evaluation of the functional effects of surface flowering in aquatic plants on animal behavior【A】

*母良田竜ノ介(筑波大学, 国立科博・植物), 堀内勇寿(東京都環境科学研究所, 国立科博・植物), 上條隆志(筑波大学), 田中法生(国立科博・植物, 筑波大学)
*Ryunosuke HOROTA(University of Tsukuba, NMNS), Yuju HORIUCHI(Tokyo. Metro. Env. Res. Inst., NMNS), Takashi KAMIJOU(University of Tsukuba), Norio TANAKA(NMNS, University of Tsukuba)

多くの水草は、栄養器官が沈水状態であっても花に関わる器官の一部を伸長させるなどして水面より上の気中で開花する。水面上に出現した花は、他生物の移動時の経由地や休息場所などの生態系エンジニアとしての機能的な役割が期待される。そのため湿地での開花と比較して訪花昆虫相や訪花行動に違いがあると考えられる。そこで本研究では、水面環境での開花が花粉輸送に与える影響と、花が有する生態系エンジニア機能の検証を行った。2024年9月から10月中旬に国立科学博物園筑波実験植物園水生植物区(以下水生植物区)内に設置されたコシガヤホシクサに対し、花序に付着した他個体由来花粉粒数の計測(水面118花序・湿地128花序)とインターバル撮影(10秒間隔)による訪花昆虫の行動観察(水面9花序・湿地9花序各4時間)を行った。その結果、花序への付着花粉粒数は水面環境と湿地環境で大きな差は確認されず、水面開花の影響は検出されなかった。同様に訪花昆虫の花序への滞在時間も影響を受けていなかった。しかし、水面環境において45回、湿地環境において106回と訪花回数が大きく異なっており、訪花昆虫相の違いも確認された。両環境では訪花回数と訪花昆虫相に違いがあるにもかかわらず、1回の実験で計測された送粉量に差異がなかったことから、水面環境では訪花による一回あたりの花粉輸送量が多かったと考えられた。この一因として訪花昆虫相の違いによる影響が考えられる。訪花昆虫相の把握を目的に2025年8月から10月の間、水草6種計213花に対して水生植物区内と各種自生地にてインターバル撮影(10秒間隔)による訪花昆虫の行動観察と花に付着した節足動物由来DNA(環境DNA)分析を行った。訪花昆虫の行動観察では湿地環境でより多くの訪花が確認された。環境DNA分析では3種のプライマーセットによって対象DNAの増幅が確認され、ナノポアシーケンサーを用いることで訪花昆虫の種同定を行った。


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