| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-334 (Poster presentation)
ツチハンミョウ科(Meloidae)の初齢幼虫は、単独性ハナバチの巣に寄生する。地中で孵化した幼虫は花へと登り、訪花したハナバチに付着することで巣へと運ばれ、ハナバチの卵や巣内に蓄えられた花粉や蜜を摂食して成虫へと成長する。この特異な生活史を成立させるうえで、ツチハンミョウ科の幼虫が宿主となるハナバチと接触することは最も重要な課題である。しかし、花には宿主のハナバチ以外にも多様な訪花昆虫が訪れるため、無差別に付着しては寄生生態を維持することが困難であると考えられる。花の上でハナバチを待ち伏せるタイプのツチハンミョウ科幼虫が、訪花昆虫に対して選択的に付着するかどうかを実験的に検証した研究は十分に行われていない。そこで本研究では、ヒメツチハンミョウ(Meloe coarctatus)幼虫の宿主選択性を評価することを目的として、室内実験および野外調査を行った。室内実験ではハチ目、ハエ目、チョウ目の訪花者を2種ずつ野外採取し、各一個体とヒメツチハンミョウの幼虫20匹をタッパーに入れて2時間隔離し、体表上に付着しているツチハンミョウ幼虫の個体数を訪花者の種間で比較した。野外調査ではヒメツチハンミョウを採集したサイトにおいて訪花者を無作為に採集し、体表上に付着しているツチハンミョウ幼虫の個体数を比較した。その結果、両調査において体表への付着が確認された分類群はミツバチ科の昆虫と一部のハナアブのみで、鱗翅目やその他のハエ目への付着は確認されなかった。このことは幼虫がある程度の宿主選択性を示すことを確認したといえる。一方で、本研究で幼虫の付着が確認されたミツバチ科やハナアブの訪花者はおそらく実際に宿主として機能する分類群ではない。そのためツチハンミョウ幼虫は宿主選択性を持つが、厳密に特定の種のみを見分けられる精度ではない可能性がうかがえた。