| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-337  (Poster presentation)

沖縄島北部において腐肉食動物による死体除去がロードキルモニタリングに与える影響【A】
Effects of Carcass Removal by Scavengers on Roadkill Monitoring in the northern part of Okinawajima Island, Ryukyu Archipelago【A】

*丸田裕介, 下地博之, 鶴井香織, 辻和希(琉球大学)
*Yusuke MARUTA, Hiroyuki SHIMOJI, Kaori TSURUI, Kazuki TSUJI(University of the Ryukyus)

ロードキルは道路が野生動物個体群に及ぼす主要な人為的死亡要因であり,正確な保全対策には発生数の適切な把握が不可欠である.しかし,ロードキル個体は腐肉食動物により除去されることが知られるため,直接観察に基づく発生状況の推定値は実際より過小評価される可能性がある.東アジアにおける生物多様性ホットスポットの一つである沖縄島北部では,夜間に得られるロードキルの大半を両生類が占めることが示されているが,死体除去過程を考慮した評価は不足している.また,本地域には在来の肉食性哺乳類が不在であり,鳥類が陸上生態系で重要な役割を担うことから,他地域とは異なる死体除去構造が想定される.本研究では,国頭村内の県道からなる約32 km区間を調査地とした.2024年6月–2025年5月に道路沿い18地点へ自動撮影カメラを設置し,道路に出現する野生動物の活動状況を記録した.並行して,各地点で2か月に1回,ロードキル個体を模した鶏の手羽元をベイトとして22時に設置し,24時間後の残存状況を記録した.加えて,2024年5月–2025年4月に設けた全95日間の調査日に日没後と日の出前の同一夜間2回のペアセンサスを実施し,夜間中の死体残存および除去状況を検証した.撮影個体の9割が鳥類で,その大部分がリュウキュウハシブトガラスであった.ベイトは日の出前後の短時間で完全に除去され,持ち去る瞬間が記録できた事例は全て同種によるものであった.実際のロードキル個体も大半が両生類であり,1回目のセンサスで確認された個体は2回目のセンサス時にも同一地点で確認され,夜間中の消失はなかった.以上より,本地域では鳥類,特にリュウキュウハシブトガラスが主要な死体除去者であり,日中のみの調査は発生数を大きく過小評価する可能性が高い.正確な評価には夜間の調査と,腐肉食動物群集の構成および活動時間に応じたモニタリング設計が不可欠である.


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