| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-353 (Poster presentation)
ロードキルは自然発生の遺骸に比べ発生頻度と発見効率が高いため, スカベンジャーにとって有用な餌資源であり, 頻繁に利用される. しかし, 在来スカベンジャーにとって未知の毒を有する外来生物のロードキルに関しては, その利用実態が明らかになっていない. 本研究では, 三宅島に広く分布する有毒外来種アズマヒキガエル (Bufo formosus) のロードキルの在来スカベンジャーによる利用実態を解明することを目的とし, 利用頻度とスカベンジャー種の特定, 摂食行動の観察を2025年5–9月に行った. ロードキルの利用頻度を調べるため, 都道212号線を一周し, 時間経過によるロードキル数の変化を記録した. また, 捕食者の特定と摂食行動の観察のため, 林縁の開放地にアズマヒキガエルの遺骸を設置し, カメラトラップによる経過観察を行った. 摂食行動は映像記録からヒキガエルの体部位を3つに分けて摂食部位を評価し, 捕食者の成長段階による違いも評価した. 加えて, 実際の道路にアズマヒキガエルの遺骸を複数個配置して捕食者の観察を行った. 調査期間中, 104個体のロードキルが観察され, その96%にあたる100個体が午前, 残りの4個体中3個体が午後に除去された. 摂食が確認された種はハシブトガラス (Corvus macrorhynchos) のみであり, 脚部の摂食が最も多く, 有毒な頭部の摂食は稀であった. 一方で, 幼鳥は頭部の摂食率が比較的高かった. 本研究により, 三宅島に生息するハシブトガラスは, アズマヒキガエルのロードキルを積極的に利用していることが明らかとなり, ハシブトガラスの活動開始時のエネルギー源としてロードキルの重要性が示唆された. また, 有毒部位を避ける行動適応により, アズマヒキガエルを餌資源として利用していることが明らかとなった. 一方, 幼鳥による頭部摂食が多い傾向から, この行動適応には学習による強化も含まれている可能性が示された.