| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-354  (Poster presentation)

整列を伴わない群をなすユスリカの3次元動態解析【A】
Three-dimensional dynamic analysis on non-alignment swarms of flying midges【A】

*河上歩乃歌, 合原一究(筑波大学)
*Honoka KAWAKAMI, Ikkyu AIHARA(University of Tsukuba)

 自然界では群れをなして行動する生物が数多く見られる。ユスリカも群れをなす生き物の一種である。ユスリカの群れは、他の群れをなす動物の多くのようには、群れ内部の他個体と同調した進行方向を取らないように観察される。ユスリカは体長が小さく素早く移動する個体も多数存在するため、正確なトラッキングは困難であった。本研究は、ユスリカの群運動を撮影して得られる3次元軌跡から、進行方向、重心までの距離、および最近接個体までの距離の変化に基づいてユスリカの群れとしての挙動を解析すること、および群モデルに対する新たな知見を得ることを目的としておこなう。
 調査は茨城県つくば市の筑波大学で実施した。具体的には、2台のカメラでユスリカの群運動を撮影した。撮影データからUMATrackerで動画上のユスリカ13匹の位置を取得し、DLTアルゴリズムを用いて、各個体の3次元座標を取得した。得られた3次元座標を用いて、3次元動態解析を行い、ユスリカの群れの性質の評価を行った。群れ内の個体の進行方向の時間変化を調べたところ、ユスリカの群れに属する各個体の進行方向はばらけていることが示唆された。各個体の位置から重心までの距離の時間変化を調べたところ、多くの個体がまとまった範囲にいることがわかった。
 次に、重心に寄っていく動きと個体間相互作用に基づく数理モデルを提案し数理シミュレーションを行ったところ、整列の取らない群れを定性的に再現できた。ただし、各個体の位置から重心までの距離の分布については実データと差があり、モデルの改良が今後必要であることがわかった。


日本生態学会