| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-357  (Poster presentation)

ゼブラフィッシュは繰り返しの経験により未来を予測できるようになるか【A】
Can zebrafish anticipate future events through repeated experiences?【A】

*野田真舟, 村上正志(千葉大学)
*Mashu NODA, Masashi MURAKAMI(Chiba Univ.)

未来を予測する能力はさまざまな行動の基盤となるため、これを確かめることは動物の行動を理解する上で重要である。本研究ではゼブラフィッシュ(Danio rerio)に焦点をあてた。ゼブラフィッシュは、脊椎動物として一定の認知能力を持ちつつ飼育が容易なため、本研究に適している。先行研究では、特定の時間帯に水槽内の特定の区画で報酬を与える続けることで、事前にその区画に行くようになることが示されている。本研究では、日周サイクルを利用できない状況でも未来を予測して事前の行動ができるのか、報酬と罰の2つの文脈で検証した。実験では、透明な仕切りABとBCによって3つの区画(A、B、C)に分けた水槽を使用した。仕切りABは可動式であり、魚はこれがなければ区画AとBを行き来することができる。一方、区画Cは常に仕切りBCで隔てられているため入ることは出来ない。実験では、区画A+Bに魚を入れて十分に慣らしたあと、区画Cに報酬もしくは罰となる物を入れて提示し、10分後に回収する。さらに10分後に、仕切りABを設置して区画AとBの行き来を出来なくする。その10分後、今度は区画Aに報酬もしくは罰となる物を入れる。その10分後にこれを回収し仕切りABを上げ、一連の流れとする。これを36回繰り返した。報酬は餌であり、罰は区画内を棒でかき混ぜることで与えた。対照群では報酬も罰も与えず、餌回収用のスポイトもしくは棒をごく短時間のみ区画Cに入れることで、時間の指標のみを与えた。もしゼブラフィッシュが未来を予測できるのであれば、報酬実験においてより区画Aに行くようになり、罰実験ではその逆に区画Bに行くようになると考えられる。結果、報酬、罰いずれにおいても、対照群と比べて徐々に区画AもしくはBに行くという結果にはならなかった。そのため、ゼブラフィッシュは日周サイクルを利用できるなど限られた状況でのみ未来を予測できると考えられる。


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