| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-358  (Poster presentation)

巻き方向が異なる「2種」のカタツムリは種内多型か? ー交配実験での検証ー【A】
Are the two snail “species" with different shell chirality intraspecific polymorphism? ーEvidence from mating experiments【A】

*長島圭, 細将貴(早稲田大学)
*Kei NAGASHIMA, Masaki HOSO(Waseda Univ.)

 台湾南部に同所的に生息する2種のカタツムリ(アコウマイマイとパンカラマイマイ)は、殻の巻き方向が異なっている。一般に、巻き方向の異なるカタツムリの個体同士では交尾が物理的に難しく、巻き方向の違いは生殖隔離の要因になるとされてきた。しかし、近年に行われたミトコンドリアDNAを用いた系統解析の結果から、共存するこれら「2種」の集団間に遺伝的な分化がない可能性が指摘されている。そこで本研究では、殻の巻き方向の異なるこれら「2種」が種内多型である可能性を検証するため、交配実験を実施した。その結果、この「2種」では、巻き方向が異なるにもかかわらず容易に交尾でき、さらには正常なF1世代が得られることが明らかになった。また、交尾成功率や交尾継続時間は、交尾するペアの巻き方向の組み合わせに依存しないことがわかった。交尾相手を選択させる実験からは、巻き方向に応じた同類交配や異類交配の明確な傾向は検出されなかった。以上のことから、これら「2種」は生物学的な別種ではなく、種内多型である可能性が強く示唆された。本発表ではさらに、この多型が維持されるメカニズムについて議論する。


日本生態学会