| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-362 (Poster presentation)
鳥類の飛翔行動を把握することは、求愛に利用される飛翔ディスプレイの定量化や、航空力学への転用など、基礎・応用の双方の側面から需要がある。しかし、3次元空間上を飛翔する鳥類の飛翔軌跡の把握はこれまでの目視が主体の観察手法では困難であった。近年、「LiDAR(Light Detection And Ranging)」による観測が各分野で発達してきており、3次元空間における計測技術として期待されている。LiDAR計測は距離計測用のレーザー光を、数万~数十万点/秒という高密度で放射状に照射し、対象物の複数の点までの距離を瞬時に計測(3Dスキャン)する技術である。そこで本研究では、鳥類の飛翔軌跡を、LiDARを使用して取得し、3D化および時系列データ分析をすることで、定量的に観測できるか検討することを目的とした。2025年6月に千葉県九十九里町において営巣中のコアジサシの複数個体をLiDARにより計測した。得られた点群データを分析し、生成された地形データを除外することで飛翔中の鳥類を示す点群のみを抽出した。得られた点群データを時系列ごとに並べることで空間を飛翔する複数個体の飛翔軌跡を抽出することに成功した。得られた飛翔軌跡は3次元座標中のベクトルデータとして扱うことが可能になるため、様々な分野での応用が期待される。海外の先行研究においてアジサシ類は風力発電施設への衝突が報告されており、LiDAR計測により正確な飛翔軌跡を抽出することができれば、正確な衝突確率の計算や衝突予防策の立案が可能になると考えられる。