| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-373  (Poster presentation)

アイフィンガーガエル幼生の飢餓耐性【A】
Starvation tolerance in tadpoles of Kurixalus eiffingeri【A】

*伊藤文, 岡田泰和(名古屋大)
*Bun ITO, Yasukazu OKADA(Nagoya Univ.)

空間的にも物質的にも資源の乏しい狭所環境では、生物は独自の適応戦略を発達させると考えられる。石垣島、西表島、台湾に分布するアイフィンガーガエルは、その典型例である。本種は木の洞や竹の切り株などの樹上の小さな水場(ファイトテルマータ)に産卵し、幼生はそこでのみ成長する。本種は母親が栄養卵を与えることで餌資源の乏しさに適応し、さらに幼生は変態・上陸まで排便を行わずに水場の汚染を防ぐ。また、アンモニア耐性を獲得することで狭小な水場の水質悪化にも耐えうる。このように本種は狭所環境に特化した生態を進化させている。発表者らは、これらの特徴に加えて、高い飢餓耐性が本種の狭所環境への重要な適応であると予想した。そこで、発表者らはアイフィンガーガエルを含む複数種のカエル幼生を飢餓条件に置き、死亡するまでの日数を計測した。また、アイフィンガーガエルと他種幼生との肝臓重量を比較した。その結果、アイフィンガーガエル幼生は他種幼生よりも長い期間飢餓に耐え、体重当たりの肝臓重量は他種より大きいことが分かった。今後は、この飢餓耐性の具体的なメカニズムに関して、栄養の貯蔵器官である肝臓の重量や、代謝経路などの形質に着目して実態を解明していく。本会では、この研究計画を共有し、活発な議論を深めることを期待する。


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