| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-380  (Poster presentation)

イチゴハムシの食草選択に食草の資源量と質が与える影響【A】
Effect of host plant quantity and quality on host plant selection in Galerucella vittacollis【A】

*阿部周平, 石崎智美(新潟大学)
*Shuhei ABE, Satomi ISHIZAKI(Niigata Univ.)

植食性昆虫にはそれぞれに繁殖や成長に適した食草があり、食草選択を決定づける一因になっている。しかし、野外では周囲の環境も食草選択に影響を与えることが知られている。本研究で用いたイチゴハムシGalerucella grisescens (syn. G. vittaticollis)は、タデ科の植物を主に摂食する広食性の昆虫であり、食草の中でもとくにギシギシ類を好むことが摂食実験で示唆されている。その一方、新潟県の福島潟ではミゾソバを利用していることが多い。本研究では、イチゴハムシの野外における食草選択を決定する要因を明らかにするため、ミゾソバ、イヌタデ、ナガバギシギシを対象として野外におけるイチゴハムシの個体数と食草バイオマス(資源量)の関係、食草の繁殖・成長適性について調査を行った。
野外調査の結果、6月では、イチゴハムシ個体数は食草の種類と資源量の影響を受けておらず、様々な生育地に分散していた。一方、8月には、資源量の増加とともにイチゴハムシ個体数は増加した。また、9月では、資源量の増加とともにイチゴハムシ個体数は増加し、ミゾソバで特に多くなる傾向が見られたことから、季節の進行に伴い機会的な利用から資源依存的な利用に変化したと考えられる。
また、食草の繁殖・成長適性として成虫の生存率、産卵数、幼虫の羽化率を食草間で比較したところ、成虫の生存率は食草間で差はなかったものの、産卵数と羽化率はナガバギシギシを与えると低下した。
これらの結果から、イチゴハムシがミゾソバを多く利用しているのは、イチゴハムシの活動期間を通して資源量が多く存在し、成長・繁殖に適しているからだと考えられた。また、ミゾソバと同程度成長・繁殖に適した食草であるイヌタデの野外における利用が少ないのは、資源量が少ないことが要因だと考えられた。また、ナガバギシギシを利用することが少ないのは、ミゾソバに比べ資源量が少なく、また、繁殖・成長にも適していないからだと考えられる。


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