| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-384 (Poster presentation)
翼手目は唯一の飛翔性哺乳類であり、多くの種が超音波を用いたエコロケーションによって夜間の探索行動を高度に発達させている。例外として、オオコウモリ科のほとんどの種はエコロケーションを用いず、視覚と嗅覚に頼った餌探索を行うことが知られる。しかし、オオコウモリ科の餌探索における各感覚の利用傾向の違いについては十分に検証されていない。本研究では、多様な植物を採餌するオリイオオコウモリ Pteropus dasymallus inopinatus を対象に、餌探索における視覚と嗅覚の役割について明らかにすることを目的とした。沖縄こどもの国で飼育されているメス22個体、オス20個体を対象に、2024年1月から4月の日中と9月から11月の日中及び夜間に、視覚情報のみの容器、嗅覚情報のみの容器、視覚情報と嗅覚情報の両方を持つ容器の3種類の餌の入った容器をオオコウモリに提示し、各容器への反応を観察した。その結果、最初に触れた容器の割合は視覚情報のみの容器が22%、嗅覚情報のみの容器が33%、視覚情報と嗅覚情報の両方を持つ容器が39%と大きな差は見られず、接近段階では視覚も嗅覚も同程度に利用していることが示唆された。一方、容器への接触時間および接触回数は、視覚情報のみの容器より嗅覚情報を含む2つの容器の方が有意に大きかった。これらの結果から、オリイオオコウモリは餌の位置を把握する接近段階では視覚を、接近後に採餌可能性を判断する段階では嗅覚を重視する傾向があると考えられる。また、日中と夜間で、行動傾向に大きな違いは見られなかったため、本種の感覚利用は時間帯による違いがほとんどないことが示唆された。