| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-401  (Poster presentation)

エゾモモンガの音声レパートリー【A】
Vocal repertoire of the Siberian flying squirrel, Pteromys volans orii【A】

*本馬維子, 鈴木俊貴(東京大学)
*Yukiko HOMMA, Toshitaka SUZUKI(The University of Tokyo)

 夜行性の動物において、夜間は視覚による認識が日中に比べて難しくなるのに加え、樹上では密生した葉や枝により、他個体を視覚的に認識することは難しくなるため、地上での生活と比べて情報の収集を聴覚に頼る部分が大きい。また、社会性動物は集団を維持するために採餌や移動などの活動を同期させる必要があり、音響信号は極めて重要だと考えられる。したがって、夜行性・樹上性の種では、群れの統制を図るためや餌資源・捕食者の位置を仲間同士で知らせるための、音声を用いた情報伝達がより複雑に進化している可能性がある。
 北海道に生息するエゾモモンガは、夜行性かつ樹上性である。単独での営巣と集団での営巣の両方を行い、集団での営巣時に音声コミュケーションを行う可能性が考えられる。本研究は、エゾモモンガが発する音声と発せられた状況を関連付け、音声コミュニケーションの詳細を明らかにすることを目的としている。その一部として本発表では、エゾモモンガの音声レパートリーの分類方法を検討し、途中経過の説明を行う。
 2025年12月に旭山動物園の飼育個体(4個体)と東京大学北海道演習林内に生息する野生個体を対象に音声を録音し、行動観察のために動画を撮影した(録音機:song meter mini bat 2; トレイルカメラ:wosports)。飼育個体で録音した音声は(1)可聴域のみ(2)可聴域―超音波域(3)超音波域の3つのカテゴリーに分けて確認を行った。このうち超音波域の音声の発声回数は日没後と真夜中、日の出前に多くなることを確認した。野生個体においても飼育個体で確認された超音波域と可聴域のみの音声が確認されており、超音波域の音声に関しては2個体以上での行動の際に利用される可能性が示唆された。


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