| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-403  (Poster presentation)

人間活動が促進する昆虫の分布拡大-都市域におけるヨツモンカメノコハムシを例に-【A】
Human-mediated expansion of insect distribution: A case of Laccoptera quadrimaculata in urbanized area【A】

*杉本菖武, 大澤剛士(東京都立大学)
*Shobu SUGIMOTO, Takeshi OSAWA(Tokyo metroporitan Univ.)

都市域は人間活動が高密度に行われる特に活発な環境であり、土地改変や交通網の発達により外来生物の侵入および分布拡大が促進されている。都市域では植栽などによって新たなハビタットや移動経路が創出されるとともに、人間や貨物の移動に随伴した分散も分布拡大に寄与している。さらに一部の外来昆虫は、都市域において自身の飛翔などによる能動分散と、人間活動に随伴する受動分散を組み合わせた階層的分散を行うことによって、都市域における分布域を迅速に拡大させている可能性が指摘されている。ヨツモンカメノコハムシは東南アジア原産の外来種であり日本では近年、都市域を中心に分布を拡大している。本種の寄主植物であるヒルガオ科植物は都市域において優占しやすく、しばしば道路脇や公園等に繁茂する。加えて、本種は飛び石的な分布を示すことおよびや高い張り付き能力を有することから、自動車等に随伴して長距離分散を行っている可能性が指摘されている。以上のことより本種は、ヒルガオ科植物のパッチ間を移動する能動分散と、人間活動に随伴した受動分散を組み合わせた階層的分散によって都市域を中心に分布を拡大している可能性が考えられる。そこで本研究では、野外調査および実験によって本種が都市域において階層的分散を行っている可能性を検討することを目的とした。東京都西部の市街地における調査の結果、ヒルガオ科植物は都市内に広く分布していたものの、本種の生息は散発的であった。フライトミルを用いて本種の飛翔能力を定量したところ飛翔距離は最大でも50m程度であり、野外における分布パターンは能動分散のみで説明できなかった。張り付き能力に関係すると考えられる肢節構造を走査電子顕微鏡で観察したところ、スパチュラ型かつ高密度の毛の存在が確認された。以上より、本種は都市域において能動分散と受動分散を組み合わせることによって都市域を分布拡大している可能性が示唆された。


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