| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-411 (Poster presentation)
都市に生息する野生動物は,時空間的に活動を変化させ都市の人間活動に対応している.特に,高カロリーで入手が容易な人為的餌資源を利用することで,野生動物は採餌戦略や活動パターン,空間利用を変化させる.都市に生息するキタリスSciurus vulgarisは,人為的餌資源の餌付けを利用するものの,餌付けによる時空間的な活動の変化は明らかにされていない.そこで本研究では都市緑地のキタリスを対象に,餌付けが時空間的な活動パターンに与える影響を明らかにすることを目的とした.
餌付け緑地と非餌付け緑地の各1地点で2024,2025年の春と秋に,成獣のキタリスを19個体捕獲し,加速度計とGPS内蔵のロガーを装着した.加速度データを基に,活動量の指標となるODBAや姿勢角等から行動(活動,採食,休息)を分類し,両緑地での日周活動パターンと,採食行動を抽出した日周採食パターンを季節ごとに一般化加法混合モデルで推定した.また,餌付け緑地内での時空間利用について一般化加法混合モデルを用いて時間ごとに活動量の多い地点を推定した.
日周の活動パターンと採食パターンは春に2山型,秋に1山型を示し,全体の形状は緑地間で大きな違いがなかった.しかし,春の非餌付け緑地での活動は日の出時間に高く,8時頃から低下する一方,餌付け緑地では活動が10時過ぎまで維持されたことから,キタリスが餌付け時間帯(9~11時)に合わせて活動を高めたと考えられた.また,非餌付け緑地では秋の夕方に活動が高まるが,餌付け緑地では活動の高まりがなかった.これは,キタリスが自然由来の餌と餌付けの利用によって十分なエネルギーを午前中に獲得し,夕方の活動を抑制した可能性がある.また,餌付け緑地では,餌付け時間帯に餌付け地点での活動を高めた.そのため,本調査地では全体的な活動に対する餌付けの影響は小さいと考えられたが,局所的には餌付けの利用によって時空間的な活動変化がもたらされていると考えられた.