| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-417 (Poster presentation)
雑食性の中型食肉目は、季節によって採餌する餌資源が変化することが知られている。一般に冷温帯の積雪地域では、中型食肉目の餌資源が冬季に減少する。そのような状況において、中型食肉目は野生動物の死体や果実をしばしば利用する。どちらも、栄養価が高く、冬季を過ごすために重要な資源であるが、どちらがより有益であるかはわかっていない。本研究では、積雪環境において動物の死体と栽培果実のどちらがより好まれるのか野外実験によって評価した。
2025年1月から4月にかけて、山形県鶴岡市の山形大学附属演習林、金峯山、羽黒地域においてカフェテリア実験を13地点で計134回行った。実験では、積雪の上に動物の死体を想定した鳥レバーと廃棄果実を想定したリンゴを設置した。それぞれの餌を約50 cm離した木の板上に300 gずつ設置した。訪問した動物をセンサーカメラによって動画撮影し、レバーとリンゴのどちらを先に採食したかを観察した。レバーとリンゴの嗜好性を定量化するために、種ごとに一般化線形混合モデル(GLMM)を構築した。目的変数として先に食べた餌(レバー or リンゴ)、説明変数として調査月、積雪深、調査開始からの経過日数、餌設置からの経過日数を中心化してから使用した。このGLMMにおいて推定された切片を嗜好性の値とした。
野外調査によって、計1891本の動画データを取得した。そのうち、両方の餌が残っていた状態で得られた採餌データは、タヌキが25回、キツネが14回、ニホンテンが53回、ハクビシンが25回であった。GLMMの結果、タヌキとキツネではレバーの嗜好性が有意に高く、ハクビシンではリンゴの嗜好性が有意に高かった。テンに関しては、調査地域によって嗜好性が異なる可能性があった。これらの結果は、冬季の積雪環境における餌の嗜好性が種特性や周辺環境によって異なることを示唆している。