| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-423  (Poster presentation)

佐渡島に生息するモリアオガエル成体の移動ルートと生息環境の解明【A】
Investigating the Movement Routes and Habitats of the Forest Green Treefrog on Sado Island【A】

*深井こるり(新潟大学院), 宮田雅也(新潟大学), 阿部晴恵(新潟大学)
*Koruri FUKAI(Niigata Grad.), Masaya MIYATA(Niigata Univ.), Harue ABE(Niigata Univ.)

モリアオガエル(Zhangixalus arboreus)は主に森林が多い山地に生息しているが、佐渡島では平野部の水田でも繁殖が確認されている。山地と平野間でモリアオガエルの遺伝子流動が確認されていることから、景観間の移動が起きていると考えられるものの、その移動ルートや非繁殖期の生態はほとんど明らかになっていない。したがって本研究では、佐渡島におけるモリアオガエルの繁殖後の分散や非繁殖期の生息環境を明らかにすることを目的とした。2024年4月から2025年11月にかけてラジオテレメトリー発信機(10個体)とPITタグ(149個体)を用いた追跡で得られた位置情報をもとに、モリアオガエルの繁殖後の移動ルートと生息環境を推定した。また、佐渡島島内で採取された個体からMIG-seq法によりSNPsを取得し、Admixture解析とmonmonier関数を用いた遺伝的障壁の検出を行った。位置情報の結果から、平野部水田の個体は水路を伝って河川や森林への移動と、水田に留まる行動が見られた。このことから、平野部水田のほとんどの個体は河川などを利用して水田以外の環境へ移動する可能性が高く、非繁殖期の生息環境は森林であると考えられた。しかし、水田で追跡が終了した個体もいるため、繁殖地付近に留まる個体がいる可能性は除外できない。一方、山地の個体は、繁殖地のため池から周囲の森林への移動が見られた。佐渡島島内では遺伝的障壁は検出されず、遺伝子流動も先行研究の通り確認されたが、島の南西部で特異的なクラスターが検出された。このクラスターがみられた地域は佐渡島に移入されたアズマヒキガエルの分布と共通していることから、monmonierでは検出されなかった移動障壁が存在する可能性が示唆された。


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