| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-433 (Poster presentation)
多くの動物種で、異性個体の発見や同種個体との集合などに化学物質が用いられることが知られている。ヘビ類においては、体表化学物質が性フェロモンとして機能することを示唆する先行研究がいくつか存在するが、性フェロモン以外の機能に関する研究はほとんどない。そこで、シマヘビElaphe quadrivirgataを対象に体表化学物質を利用した他個体の追跡が行われるかを検証した。Y字迷路を作成し、片側のアームに他個体の体表面を拭ったシートを設置することで体表化学物質を提示した。実験では、オスによるオスの追跡、オスによるメスの追跡、メスによるメスの追跡、メスによるオスの追跡の4パターンにおいて追跡の有無を繁殖期と非繁殖期で確認した。その結果、繁殖期ではオスによるメスの追跡、メスによるメスの追跡、メスによるオスの追跡が、非繁殖期ではオスによるオスの追跡、オスによるメスの追跡、メスによるオスの追跡が有意となった。本研究で「メスによる能動的なオスの探索」という注目に値する繁殖戦略が示唆された。一方で、同性他個体の追跡、非繁殖期における異性個体の追跡が行われるという結果は、ハビタットの探索など繁殖目的以外で同種他個体を利用するという可能性を示唆している。今後は誘引物質の特定を行うとともに、同種追跡における繁殖以外の適応的意義を解明していく。