| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-440  (Poster presentation)

群生性ヨコヅナサシガメの集合解発因子と羽化を促す環境要因を探る【A】
Investigating aggregation triggers and environmental factors promoting eclosion in the assassin bug, Agriosphodrus dohrni 【A】

*藤本大翔, 秋野順治(京都工芸繊維大学)
*Hiroto FUJIMOTO, Toshiharu AKINO(Kyoto Institute of Technology)

南方系侵入種であるヨコヅナサシガメ Agriosphodrus dohrni Signoretは、日本国内では年一化の生活史を持つ集合性のサシガメで、新成虫は春に羽化して終齢幼虫で越冬する。日本国内で春先に一斉に羽化を迎えるメカニズムについては未解明な点が多い。本研究では、温度や日長などの環境要因が羽化時期に与える影響を検証するとともに、幼虫の集合解発因の探索をおこなった。まず、日本の四季による温度・日長の変化に着目し、高温・12L12Dで生育している終齢幼虫を、高温・長日、高温・短日、低温・長日、低温・短日の4条件に移行して室内で飼育した。高温・長日では11月、高温・短日では1月に羽化し始め、2月時点での羽化率はそれぞれ40%と6%であったが、低温では、いずれも0%であった。これは、低温と短日の両条件が羽化抑制に寄与することを示唆する。さらに春羽化個体とその内部生殖器官を羽化後10~14日で比較すると、高温・長日で羽化した雌成虫の卵巣発達は抑制されたままであった。これは、性成熟には低温経験が必要であることを示唆している。幼虫の集合性に関しては、Triatoma属で用いられたシェルター提示法を本種に適用することで、本種の接触走性が集合形成の一因であることを確認した。また、短日条件下で飼育していた幼虫は、明期にシェルター外で活動、暗期開始前にはシェルター内に集まり始めて定着し続ける行動を示したが、これは本種が夜行性であるという通説に反するような傾向といえる。本種に集合形成を促す解発因を特定するには、このような活動性に対する日長・温度条件の影響や集合形成に及ぼすフェロモンなど化学物質の効果を定量的に評価する必要がある。


日本生態学会