| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-443  (Poster presentation)

ササ類に寄生するホソコバネナガカメムシの生活史の解明【A】
Life history of Macropes obnubilus associated with dwarf bamboo【A】

*尾西晴樹(龍谷大学), 中瀬悠太(京都芸術大学), 岸本圭子(龍谷大学)
*Haruki ONISHI(Ryukoku Univ.), Yuta NAKASE(Kyoto University of the Arts.), Keiko KISHIMOTO(Ryukoku Univ.)

ホソコバネナガカメムシは、ササ類の葉や茎の隙間に生息し、ササが繁茂しているところでは比較的容易に観察される。本種は、1年1世代の昆虫で、繁殖期が5〜8月(年一化)であるにもかかわらず、成虫と複数の齢期の幼虫が1年中観察される。そのため、一般的な年一化の昆虫とは異なる生活史特性を持つ可能性がある。しかし、本種の幼虫の各齢期の判別方法が未解明なため、先行研究では幼虫の齢期を詳細に区別しておらず、正確な出現時期がわかっていない。そこで本研究は、幼虫の形態的特徴による齢期の判別方法の確立と、各齢期の幼虫と成虫の季節消長の解明を目的に調査を行なった。
本種の採集は、2023年〜2025年に滋賀県大津市のネザサが優先する草地2箇所で行なった。幼虫の外部形態(体長、頭幅2箇所、前胸背板、翅包2箇所)をマイクロメーターで計測し、各齢期の判別方法を検討した。そのうえで、野外で採集した成虫と幼虫の各齢期の個体数割合を算出し、季節消長を分析した。
その結果、幼虫の形態的特徴は、翅包の有無や長さで4段階に分けられた。翅包のない幼虫の齢期は、腹背盤の左右にある硬化部の有無と頭幅(最外縁、最内縁)、前胸背板の長さによってさらに2段階に分かれ、幼虫は5齢期であることが示された。季節消長を分析した結果、1齢幼虫は6〜8月のみに出現し、それ以外の齢期の幼虫はほぼ1年を通じて出現することがわかった。また、成虫は1年中出現することがわかった。本種は5〜8月の年に1回繁殖を行う種であるが、成長速度が個体によって異なることが示された。
本研究では、本種の幼虫の形態的特徴から齢期の判別方法が初めて確立された。また、本種の成虫と各齢期の幼虫の季節消長が解明され、本種の生活史特性の解明につながる1つの知見が得られた。


日本生態学会