| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-444  (Poster presentation)

両親が口内哺育を行うカワスズメ科魚類の繁殖生態:雌雄の子育ての役割に注目して【A】
Reproductive ecology of the biparental mouthbrooding cichlid fish : Focusing on parental roles【A】

*神戸宏太(大阪公立大学), 日高諒(大阪公立大学), 武藤響子(大阪公立大学), 守田昌哉(琉球大学), 安房田智司(大阪公立大学)
*Kota KAMBE(Osaka Metropolitan Univ.), Ryo HIDAKA(Osaka Metropolitan Univ.), Kyoko MUTO(Osaka Metropolitan Univ.), Masaya MORITA(University of the Ryukyus), Satoshi AWATA(Osaka Metropolitan Univ.)

 動物分類群ごとに子の保護様式は多様であり、魚類でも様々な子の保護様式が知られている。その中でも特徴的な保護様式の1つが口内哺育である。口内哺育では、親が口腔内で子を保護するため、子の保護能力が高く、片親で子の保護が完結するとされている。そのため、ほとんどの口内哺育種は片親での保護が一般的であるが、タンガニイカ湖に生息する一部のカワスズメ科魚類には例外も存在する。特にXenotilapia種群では、近縁種にも関わらず、メス親の口内哺育後にオス親と交代して口内哺育を行う「両親口内哺育種」と、カワスズメ科魚類で一般的な、メスが単独で口内保育を行う「雌口内哺育種」が存在する。両親口内哺育では、オスが新たな配偶機会を犠牲にして子育てを行うため、子の保護を行う性の役割について議論する上で非常に興味深い。しかし、これらの種の生態に関する知見は乏しく、両親が口内哺育を行うことによる利益と制約については十分に理解されていない。X. spilopterus(スピロ)は、一夫一妻制であり、両親口内哺育や他種への子預けを行うなど興味深い繁殖生態を持つ。そこで我々は、本種を対象にタンガニイカ湖にてSCUBA潜水による野外行動観察を実施した。その結果、繁殖時の行動は観察できなかったが、本種は繁殖期以外でもつがい関係を維持し、協力してなわばりを防衛していることが明らかになった。そこで本研究では、スピロのなわばりサイズ、ペアの体サイズ、調査地に生息する同種他種との相互作用などの生態情報を調べるとともに、非繫殖時に同種をなわばり内に提示する実験を行った。本発表では、両親による口内保育の謎について、本種のペアの構成や非繫殖時のなわばり防衛における雌雄の役割に注目し、協力関係の背景にある雌雄の絆について議論する。


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