| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-448 (Poster presentation)
これまでヤンマ科の黄昏飛翔には気候条件が関係するとされてきたが、具体的にどのような気候条件が影響しているのか調査された報告はない。本研究では、マルタンヤンマおよびヤブヤンマを対象に、気候条件が両種の行動および出現に与える影響を明らかにすることを目的とした。
調査地は神奈川県横須賀市の観音崎公園とし、2024年6月から8月に59日間の調査をおこなった。方法は、17時30分から19時30分に出現した2種の個体数を記録した。確認は捕虫網による捕獲と目視でおこない、確認の重複をさけるため一度捕獲した個体にはマーキングを施した。マーキングは後翅に個体番号と捕獲日を記入してその場に放虫した。また、17時30分と19時に2回、現地の気温、湿度、風速、天候を記録した。
調査期間中にマルタンヤンマを35個体、ヤブヤンマを41個体捕獲し、マーキングをした。季節による個体数の変動では、マルタンヤンマは6月初旬から出現し、下旬から徐々に増加し、7月中旬にピークに達した。その後、7月下旬から徐々に減少したが、8月まで安定して確認され、下旬になると著しく減少した。一方ヤブヤンマは、マルタンヤンマ同様に6月下旬から増加するものの、やや早めの7月初旬にピークに達しその直後に著しく減少した。しかし、7月中旬から下旬に2度目のピークがあり、その後は減少した。気候条件との関係性においては、湿度および風速が出現に大きく影響を与えていた。湿度との関係性については、17時30分から19時に湿度が−2.5%以上低下する日は個体数が減少する傾向が見られた。風速との関係性については、風速が高い条件下では、両種ともに確認個体数が減少する傾向が見られ、飛翔活動が抑制されている可能性がある。これらの結果から、マルタンヤンマおよびヤブヤンマの黄昏飛翔は、短時間に−2.5%以上低下する湿度と、風速が影響していると考えられた。