| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-453 (Poster presentation)
タダミハコネサンショウウオOnychodactylus fuscus(以下タダミハコネ)は越後山地に固有の山地渓流性サンショウウオである.タダミハコネは広域分布する近縁種ハコネサンショウウオO. japonicus(以下ハコネ)と分布全域で同所的に生息する.ハコネが主に初夏,タダミハコネは晩秋に産卵することが知られているが,これら2種の繁殖期以外の生態的な違いは知られていない.そこで本研究では生息環境,食性,年齢と成長の調査をおこない,同所的な2種間の生態的な違いについて調査した.福島県南会津郡只見町とその周辺を調査地として,2025年5月から2026年1月にかけて14回の幼生調査をおこなって,のべ383個体を捕獲した.また変態後の個体は上記の調査地に加え新潟県側でも広く調査をおこない,幼体19個体,成体25個体を捕獲した.変態後の個体の発見場所については,タダミハコネでは多くが沢の中やその周辺斜面で見つかる一方,ハコネは多くが沢から離れた道路上で見つかった.捕獲個体からは胃洗浄法で胃内容物を採取し,幼生からは2022点,変態後の個体(幼体,成体)からは311点の胃内容物が得られた.幼生の胃内容物には2種間で明瞭な違いはみられなかった.変態後の個体の場合,タダミハコネでは水生生物を捕食していた例が複数みられたが,ハコネでは陸生生物のみを捕食していた.本研究では指骨,大腿骨等の骨組織にみられる成長停止線(LAG)により年齢査定(Skeletochronology)をおこなった.両種の幼生から3本までのLAGが観察されたが最大サイズはタダミハコネの方が大きかった.以上のようにタダミハコネとハコネは同所的な近縁種であるが生息微環境や幼生期間とその間の成長量,変態後の食性などに違いがある傾向がみられた.