| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-457  (Poster presentation)

ヒガシニホンアマガエルの生活史特性に対する都市化の影響の検証【A】
Assessing the effects of urbanization on the life-history traits of Dryophytes leopardus【A】

*熊田玲奈, 入江聖奈, 志賀有紗, 岩井紀子(東京農工大学)
*Reina KUMADA, Sena IRIE, Arisa SHIGA, Noriko IWAI(TUAT)

 現在、都市化に伴う生息地改変によって、世界的に両生類が減少している。都市では環境条件の変化やそれに伴う新たな選択圧のため、表現型可塑性や遺伝的進化により生活史形質が変化する場合があり、これを考慮した都市生物の保全が求められている。両生類では、水域の環境条件を反映する幼生期の形質が変態後にも影響し、そこに陸域の環境条件の影響が加わることで、成体期、繁殖投資の形質が形成される。そのため、両生類に対する都市化の影響を把握するためには、複数の生活史形質を検証する必要がある。本研究では、ヒガシニホンアマガエルDryophytes leopardusに対する都市化の影響を明らかにするため、都市度の勾配に沿って、変態時の体サイズ、成体の体サイズ、産卵数、卵サイズ、繁殖投資量を明らかにする野外調査を行った。建物率を都市度の指標とし、東京都を中心に都市部から農村部までの都市度の勾配をカバーする14地点で調査を実施した。その結果、変態時の体サイズに対して都市化の影響は認められなかった。成体の体サイズは都市度に対して一山型の関係を示し、両生類個体数の減少に伴う競争緩和により、郊外部で個体あたりの餌資源量が最も多くなっている可能性が考えられた。繁殖投資において、都市化による卵サイズの小型化が認められたが、産卵数の増加は認められず、親が大きな卵を産めなくなっている可能性が考えられた。また、幼生期の形質における進化的反応の可能性を検証するため、同一環境下における飼育実験を行った。都市度と変態時の体サイズ、幼生期間、変態到達率との関係を検証したところ、変態時の体サイズと幼生期間には都市化の影響は認められなかった。一方で、都市度の高い集団では変態到達率が低下したことから、生存において進化的反応が起きていると考えられた。今後は、これらの結果が生じた要因を解明するため、水域と陸域の両方で餌資源の量と質を中心とした環境要因を特定する必要がある。


日本生態学会