| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-466  (Poster presentation)

都市化に伴う土地利用の変化がハムシ科群集の多様性や種組成に与える影響の評価【A】
Effects of land-use changes associated with urbanization on the diversity and species composition of leaf beetle (Chrysomelidae) communities【A】

*木村仙, 丑丸敦史(神戸大学)
*Sen KIMURA, Atushi USHIMARU(Kobe Univ.)

日本の代表的な農地である水田周辺の畦畔には長年維持されてきた半自然草地(里草地)が成立し、多様な動植物の生息地となってきた。しかし、近年、都市部の水田では人工地の増加による生息地の縮小や断片化、環境改変によって、里草地の植物や昆虫類の多様性減少が報告されている。移動分散能力が低いハムシ科昆虫は、幼虫・成虫ともに餌生物として植物を利用する植食性昆虫であるため、寄主植物の生育地の孤立や断片化による減少の影響を受けやすいと考えられる。しかし、都市における人工地増加の生物への影響について調べるために、ハムシなど移動分散能力が低い昆虫に着目した研究は少ない。そこで本研究では、都市における人工地増加がハムシ科群集の種多様性や植物との関係に変化をもたらすか明らかにするため、都市化(周辺の人工地面積)勾配に沿ってハムシの多様性や環境要因を調べた。その結果、ハムシ類の種数と個体数ともに、人工地面積の増加に伴い単峰型の関係をもつことが示された。また、飛翔性のないハムシは都市化とともに減少する一方で、飛翔性をもつハムシは周囲の人工地面積の中程度の里草地で個体数が増加した。さらに、植物3科以上を利用する広食性種は都市化とともに単調減少した一方で、1-2科のみ利用する狭食性種は中程度の都市化で増加した。これらの結果から、都市郊外(中程度の都市化環境)では狭食性・飛翔可能種が増加することが示され、都市郊外の里草地が特定ニッチを持つ種に有利に働く可能性が示唆された。一方、高度に都市化した地域では生息地分断、熱ストレス、寄主植物密度低下などが複合的に作用し、ジェネラリストを含む全ハムシ群集に負の影響を与えると考えられる。本研究は、移動分散能力が低い動物への人為影響だけでなく、形質の差異が生息地改変に対する応答の違いをもたらすかを明らかにする上で重要な示唆を与えるかもしれない。


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