| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-467 (Poster presentation)
生物群集は、多様な植物・動物・微生物の個体群によって構成され、それらは他種と様々な関係を築きながら共存している。近年問題となっている地球温暖化は、生物群集に影響を及ぼし、捕食-被食関係や共生関係、競争などの生物間相互作用を変化させる可能性がある。温暖化による影響を特に強く受ける可能性がある環境のひとつに水田が挙げられる。水田生態系は人工的な環境であるにもかかわらず、多様な動植物が生息・生育する場として機能し、生態系サービスを提供する重要な環境である。しかし、水温上昇はイネの品質低下を引き起こすことが知られるとともに、降水量の減少による水不足の影響も懸念される。一方で、温暖化による水温上昇と水不足による水位低下が、水田生物群集に与える複合的な影響については、これまで十分に明らかにされてきたとは言い難い。
そこで本研究では、地球温暖化による水温上昇と水位低下が水田生物群集に及ぼす影響を、水田模擬生態系(メソコズム)を用いて検証した。
対照区、水位低下区、加温区、水位低下+加温区の4つの処理区を設定し、各処理区で水温測定と水生生物の採集を行った。得られたデータを基に、水生生物の総個体数および種数を比較するとともに、PRC解析により群集組成の差異を検討した。その結果、総個体数は実験開始約1か月後に対照区より他の処理区で多くなる傾向がみられた。一方、種数は約1か月後に水位低下区と加温区で、約1か月半後には水位低下+加温区で対照区と比べて多くなる傾向を示した。PRC解析では、加温区で実験開始後約1か月間は対照区と類似した変化を示したが、その後は異なる曲線を描いた。一方、水位低下区および水位低下+加温区で約1か月間は対照区と異なる変化を示したものの、その後は3処理区で類似した曲線となった。今後も調査を継続し、水温以外の環境要因が水生生物群集に与える影響についても議論する。