| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-470  (Poster presentation)

成長する餌種に対する小さな捕食者種の非消費型効果:餌種のサイズ構造に注目して【A】
Non-consumptive effects of predators with predation window on growing prey: An experimental study focusing on the size structure of prey【A】

*漆原理心, 高津邦夫(新潟大学)
*Riko URUSHIHARA, Kunio TAKATSU(Niigata Univ.)

成長に伴って個体の生態学的機能は変化する。このため、二種間の相互作用であってもその理解は一筋縄ではなく、個体群のサイズ構造に応じた直接・間接相互作用の情報を必要とする。成長に伴う機能的変化の代表例として、捕食耐性の向上が挙げられる。多くの捕食者種は食える餌サイズに上限があるため、餌個体は成長するほど食われにくくなり、極端な場合、捕食から解放される。しかし、餌個体群のサイズ構造によっては、同居する小さな餌個体が捕食されるため、餌個体の防御的行動や形態を誘導する刺激が存在し続ける。これは結果として、捕食から解放された大きな餌個体の防御的応答を引き出すかもしれない。相互作用研究において、捕食者種からの影響を受ける対象として大きな餌個体は考慮されてこなかったが、「小さな餌個体がいるからこそ」生じる、捕食者種から大きな餌個体への間接効果があるのではないだろうか?この仮説を検証するため、餌を抱えて食うマツモムシとその餌種であるモリアオガエルのオタマジャクシ(以下、オタマ)を用いた水槽実験を行った。捕食されたオタマ由来の化学刺激とマツモムシの在不在の下で大きなオタマを個別飼育したところ、マツモムシの在不在に拘らず、大きなオタマは行動活性を低下させた。一方で、化学刺激は形態的防御や成長速度に影響を与えなかった。これらの結果は、小さな餌個体を介した捕食者種から大きな餌個体への間接効果とその形質依存性を示唆する。次に、マツモムシの在不在とオタマ個体群のサイズ構造を操作し、大きなオタマの行動や形態、成長速度を調べた。小さなオタマを含む個体群でのみ捕食死亡が生じたが、これは大きなオタマの形質変化をもたらさなかった。後者の実験のほうが、水槽が大きく捕食が起こりにくかったことから、捕食に伴って放出される化学刺激の濃さが、捕食者種から大きな餌個体への間接効果の生起を左右すると考えられる。


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