| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-473 (Poster presentation)
2種のサケ科魚類が同所的に共存する場合, それぞれの種が単独で生息する場合と比べて、餌や生息場所の利用様式が異なることがある. これはニッチシフトとして知られており, それら2種の間に種間相互作用がはたらくことを示唆する. 四国の仁淀川水系黒川源流域では, 元々イワナは生息していなかったが, 1990年代にイワナが放流されて以降, その分布域が拡大し, 在来アマゴの密度が減少していることが示されている. 本研究では, これら2種間に相互作用がはたらいているのかどうかを明らかにするために, 移入イワナと在来アマゴの生息場所利用を, 両種が生息する共存域とそれぞれの種が単独で生息する単独域(または圧倒的に優占する優占域)で比較し, 相手種の有無により生息場所利用が異なるするかを検討した. その結果, 両種ともに相手種の有無による差異が見られた. 共存域では, イワナが底層を利用し, アマゴはより上層を利用する資源分割が見られたが, アマゴがほぼいないイワナ優占域のイワナでは, 共存域と比べると, 上層を利用する個体が多かった. 一方, アマゴ単独域のアマゴでは, 共存域と比べて底層を利用する個体が多かった. これらのことから, 共存域で見られるイワナとアマゴの資源分割には種間相互作用が介在していることが示唆された. サケ科魚類に見られる順位制と, それに伴う個体間の空間分布から考えると, 共存域においては, イワナはアマゴ優位個体からの干渉により上層での流下物採餌が制限されているが, 一方, アマゴ劣位個体を底層から排除している可能性と解釈された.