| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-475 (Poster presentation)
林野火災は森林生態系における主要な自然攪乱の一つであり、地上部植生のみならず土壌環境にも甚大な影響を及ぼす。土壌動物は環境の変化に対応し敏感に応答することから、土壌動物群集は環境指標として広く用いられる。本研究では、林野火災に対して土壌動物群集がどのように反応するのかを明らかにするため、愛媛県内の被災地(2023年被災の大洲市、2025年被災の今治市(一部は2008年にも被災)において、火災強度、火災回数、地形および植生構造が群集構造に及ぼす影響を調査した。
今治地区において谷部で土壌含水比と個体数が高く、尾根および急斜面で低い傾向が見られ、地形が個体数に影響していることがあきらかになった。機能群別にみると、低被害区は未被害区よりも分解者数が多く、捕食者数は少なかった。これは、火災により個体数が減少したが、火災後に供給された有機残渣が分解者の増加を促進したためと考えられる。一方、2回被害区ではA層よりB層で多様度指数が高く、繰り返される攪乱により土壌動物の生息適地としての機能が損なわれていると考えられた。
大洲地区の経時調査の結果、個体数や分類群数が二年目に大幅に増加し、群集構造に回復傾向が確認された。しかし、未被害区の水準には達しておらず、群集構造はもとの水準には及んでいない。
以上の結果から、林野火災の発生状況や地形・植生等の複合的要因が、土壌動物群集の構造および機能に対し、それぞれ異なるプロセスで影響を及ぼすことが明らかとなった。