| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-479 (Poster presentation)
種間相互作用の検出や強度の定量化は,短期的な時間スケールの現場での観察や室内実験等によって可能だが,長期的な時間スケールでは,種間相互作用と強度が時間によって正と負の効果が混在することが多いため,非常に困難である.一方で近年,種間相互作用の検出と強度の定量化のための方法として非線形時系列解析 (EDM)の因果関係検定であるConvergent Cross Mapping (CCM)が提唱された.CCMは長期的な時間スケールでの個体数変動パターンデータに基づき、出現種間の因果関係を推定する手法である.本研究は,これまで不明瞭な点が多かった干潟の種間関係について,CCMを用いて底生生物 (ベントス)種間の潜在的な因果関係と種間相互作用強度を定量化し,種間相互作用網を把握することを目的とした.
熊本県白川河口干潟に生息する底生生物群集を,2024年4月から毎月1年間,コドラート (20 cm3)を用いて底泥を各3回定量採集し,1mm以上の種 (マクロベントス)の同定,計数を行った.得られた各種ベントス (主要種6種)の個体数の時系列データを用い,CCMによって各種の因果関係を検出した.
干潟に生息するベントス種間には複数の因果関係が検出され、正の効果の相互作用は13個、負の効果の相互作用は4個検出された.しかし,その多くは相互作用強度が弱かった.干潟に生息するベントス種間は,餌料を巡る激しい消費型の競争関係にあることが数多く報告されているが、白川河口干潟ではベントス種間の競争関係は強くないことが示唆された.一般的に、弱い相互作用強度網を形成する群集は安定性が高いことが知られている.弱い相互作用強度網が形成されていたことは,白川河口干潟のベントス群集が環境変動などに対して安定性の高い群集動態を示しているのかもしれない.