| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-484 (Poster presentation)
被食者-捕食者相互作用は、生物の形態や行動の進化に強く影響を与える環境要因である。したがって、その相互作用を正確に捉えることはその動物群の生態への理解に重要である。一般に、ある生物の餌に関する情報は個体の消化管内容物や糞分析から集積が比較的容易である一方、捕食者に関する情報の集積は極めて難しい。捕食者相を明らかにすることは、その生物の進化的な背景の理解に加え、近年重要視される外来種問題などに対し、保全上有用な情報を与える。日本産のヘビ類やカメ類ではその捕食者が具体的な証拠と共に体系的にまとめられている一方で、他の分類群ではそのような知見は不足している。日本産両生類は8割以上が固有種であり、日本に生息する脊椎動物の中で最も高い割合を占めることから、保全の重要性が高い。しかしながら自然界におけるその捕食者を体系的にまとめた報告はない。演者らは日本産両生類を対象とした捕食者の調査を行っており、本発表ではその中間報告を行う。捕食者の調査には、過去に発表された様々な動物群の食性に関する2669編の文献から、両生類の捕食記録を抽出した。記録項目には、捕食者、被食者の種名と体サイズに加えて、捕食の記録された時期や場所、餌両生類の成長段階を含めた。現時点で323編の文献から1067件の捕食例を得ている。カエル類の捕食者として9綱29目、イモリ類の捕食者として6綱7目、サンショウウオ類の捕食者として8綱10目の動物種を確認している。また、国外由来の外来生物の餌として、61種の両生類を確認している。本発表ではこれらの結果をまとめ、両生類の防御的形態や行動の進化的要因を、捕食圧の観点から考察する。