| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-492  (Poster presentation)

印旛沼流域の谷津の局所要因と景観要因が水生昆虫群集の多様性に与える影響【A】
Effects of local and landscape factors on diversity of aquatic insects in yatsu wetlands of the Lake Inba watershed【A】

*堀田和希(東京大学), 平野佑奈(国立環境研究所), 今藤夏子(国立環境研究所), 伊藤洋(国立環境研究所), 田和康太(国立環境研究所), 西廣淳(国立環境研究所), 吉田丈人(東京大学)
*Kazuki HORITA(Tokyo Univ.), Yuna HIRANO(NIES), Natsuko KONDO(NIES), Hiroshi ITO(NIES), Kota TAWA(NIES), Jun NISHIHIRO(NIES), Takehito YOSHIDA(Tokyo Univ.)

水生昆虫は、水中もしくは水面で過ごす期間を生活史に持つ昆虫類の総称であり、生息地の改変や耕作放棄地の増加などの影響により、多くの個体群が減少傾向にある。水生昆虫の多様性を効果的に保全するための戦略は、出現種数が多い生息地の存在や限られた生息地のみに出現する種の存在などによって異なるため、種多様性に影響する要因と群集構造を理解することが重要である。本研究では、千葉県印旛沼流域の谷津を対象として、そこに生息する水生昆虫の群集構造を記述するとともに、種多様性に影響する局所要因と景観要因について検討した。
調査は、千葉県印旛沼流域からランダムに選定した30箇所の谷津で行った。水生昆虫は、タモ網を用いた掬い取り法と環境DNAを利用したメタバーコーディング解析により調べた。水生昆虫に影響する環境要因として、放棄から5年経過した耕作放棄地の面積、放棄されて5年以内の耕作放棄地の面積、周囲の水田・深い淡水域・森林の面積などを用いた。
調査の結果、合計で33の分類群の水生昆虫が確認できた。水生昆虫群集は入れ子構造の傾向を示し、種数の少ないサイトの種は種数の多いサイトにも共通して出現した。また、放棄から5年経過した耕作放棄地の面積と谷津の幅の大きさが種数に有意な負の影響があり、谷津周辺の森林面積が有意な正の影響を与えていた。ただし、分類群数の多寡を説明する影響の強さはコウチュウ目・トンボ目・カメムシ目で異なっていた。全体として、水生昆虫の多様性を保全するためには、谷津の水田耕作を維持し湿潤な環境を維持するとともに、周辺の森林景観を保全することが重要であると考えられる。


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