| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-494  (Poster presentation)

斜面が及ぼす地表性甲虫類の種多様性への影響について【A】
The Influence of Slope on Species Diversity of Terrestrial Beetles【A】

*松下尚太郎, 安立美奈子(東邦大学大学院)
*Shotaro MATSUSHITA, Minako ADACHI(TOHO Univ)

 地表性甲虫類は分散能力が低く、環境攪乱の影響を受けやすいため、生物多様性の指標生物として広く用いられている。近年、放棄竹林の拡大が問題となっているが、先行研究では放棄竹林を皆伐すると地表性甲虫類の種数や個体数は増加すると報告されている。一方で千葉県の里山では谷津という谷状の地形が多く、低地から台地に向かって形成される斜面において、森林や竹林が存在している。地表性甲虫類は飛翔能力がないため傾斜などの地形の影響を受けると考えられるが、植生と共に傾斜の影響について研究した例はほとんどない。そこで本研究では、森林および竹林における平地と斜面を比較し、植生および地形条件が地表性甲虫類の多様性に与える影響を検討した。
 本研究は、千葉県佐倉市小竹において森平地、斜面、竹林平地、竹斜面の4つの調査地にそれぞれ9 m×9 mのプロットを設けた。2025年6月から11月まで月1回、ピットフォールトラップ法にて地表性甲虫類の捕獲を行った。また、環境要因として地温と土壌含水率を測定した。
 全調査期間で43種1022個体が採集され、個体数は森林の方が多かったが、種数は森林で31種、竹林で36種が確認され、竹林の方が種多様性が高い結果であった。一方で、ハネカクシ科は森林で多く採集されたが、竹林でほとんど見られなかったことから、地表性甲虫類は植生環境に応じて生息地を選択している可能性が示唆された。地形の影響については、平地のみで確認された種は森林で15種、竹林で11種であったのに対し、斜面のみで確認された種は森林で3種、竹林で9種であった。この結果から、多くの種において斜面は利用しにくい環境であることが示唆された。各調査地の地温と種数や個体数との間には明確な関係は認められなかったが、土壌含水率と個体数の間に正の相関関係が認められた。


日本生態学会