| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-499  (Poster presentation)

ヌタ場に形成される哺乳類及び鳥類群集構造に影響する環境要因の解明【A】
Factors affecting mammalian and avian community  structure in wallows【A】

*鳥海帆乃花(東京農工大学), 佐藤華音(琵琶湖博物館, 東京農工大学), 稲垣亜希乃(東京農工大学), 小池伸介(東京農工大学)
*Honoka TORIUMI(TUAT), Kanon SATO(Lake Biwa Museum, TUAT), Akino INAGAKI(TUAT), Shinsuke KOIKE(TUAT)

シカやイノシシといった大型有蹄類は地面を掘り返し身体を擦り付ける行動(以下、ヌタ浴び)を通じて、「ヌタ場」と呼ばれるぬかるみを形成する。ヌタ場は、多様な種が、多様な目的での訪問が行われることで、複雑な種間関係が創出される生態系のホットスポットといえる。そのため、各種のヌタ場への訪問の実態を明らかにすることは、大型有蹄類の生態系エンジニアとしての役割の理解するうえで重要な課題である。本研究では、2022年6月から2023年5月と、2023年12月から2024年11月にかけての2年間にわたり、森林内の27ヶ所のヌタ場に自動撮影カメラを設置し、哺乳類と鳥類の訪問を記録し、撮影された動画からヌタ場における訪問目的の特定と訪問頻度の算出を行った。その結果、18種の哺乳類と39種の鳥類が、ヌタ浴びや飲水など13種類の目的でヌタ場を訪問していた。ヌタ場を訪問した種のうち哺乳類15種、鳥類23種が、ヌタ場を飲水や水浴びを行うために訪問しており、ヌタ場が水場としての役割を果たしていた。また、オスのシカの訪問頻度は秋にヌタ浴びを目的とする訪問が主であったが、メスのシカの訪問目的は採食が中心であった。また、イノシシは採食を目的とした訪問が主であり、ヌタ浴びは通年で記録された。ヌタ浴びを行う2種の大型有蹄類による訪問目的はヌタ浴びに限定されず、通年での訪問が記録された。また、中型食肉目4種(タヌキ、アナグマ、テン、ハクビシン)によるヌタ場への訪問目的は種によって異なった。


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