| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-502  (Poster presentation)

核マーカーを用いた環境DNAで可視化する適応形質の迅速進化:精度検証と野外実態【A】
The eDNA approach using a nuclear marker visualizes the rapid evolution of adaptive evolution: accuracy validation and dynamics in wild ecosystems【A】

*大熊普賢(北大 環境科学院), 内海俊介(北大 EES)
*Fugen OKUMA(Hokkaido Univ. Env. Science), Shunsuke UTSUMI(Hokkaido Univ. EES)

数世代から数十世代といった比較的短い時間スケールで起こる迅速な進化が様々な分類群で確認され、研究が行われている。しかし、先行研究で着目されてきたのは表現型の進化であり、形態的特徴から判別できない行動や生活史に関わる形質の進化はほとんど研究されていない。その理由として、従来手法は生物を採取して直接形質を計測するため、形態から判別できない形質は計測が難しいことが挙げられる。近年は、環境DNAアプローチを用いた野外個体群内の遺伝的多様性評価が行われつつあるが、形質に関連する遺伝情報を含む核DNAは残存コピー数が少ないため検出が非常に難しい。もし、環境DNAアプローチによって適応形質の関連遺伝子の検出・遺伝子頻度の推定することができれば、表現型に限らず野外の迅速な進化を可視化できると考えた。
本研究は、環境DNAアプローチによる適応形質の迅速な進化の可視化を目的として、接種実験による精度検証と野外調査を行った。対象には、適応形質の核遺伝子マーカーが開発されているヤナギルリハムシ(Plagiodera versicolora、以下ハムシ)を選定した。接種実験はハムシの個体数や接種期間などが異なる複数の処理を用意し、接種期間経過後にハムシと環境DNAサンプルを回収した。野外調査は、環境DNAを回収した後にハムシを直接採取した。その後、環境DNAサンプルはNGSによるシーケンスを行い、推定された遺伝子型頻度をジェノタイピングの結果と比較した。環境DNAサンプルは複数の1st PCR反復回数を用意し、反復回数による影響についても比較した。シーケンスの結果、接種実験・野外調査を問わず形質に関連する核遺伝子を検出することができた。
本発表では、これらの異なる処理間での違い、野外の環境DNAサンプルの結果について報告し、野外の迅速な進化の可視化における環境DNAアプローチの有用性について議論する。


日本生態学会