| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-505 (Poster presentation)
生物群集の時間変動が駆動メカニズムとその特性を明らかにすることは、生態系の安定性や機能を理解する上で重要である。生物群集の動態は、環境要因や種間相互作用などにより、複数の時間スケールの変動が重なり合うことで、複雑なパターンを示す。多種からなる複雑な群集動態の駆動要因を明らかにし、群集の時間変動特性(非同調性など)を理解するためには、周期変動やトレンドなどを抽出し、それらの時間スケール依存性を評価することが重要である。一方で、フーリエ変換などの既存手法では、時系列長などのデータ構造に結果が依存することや、周期を持たない長期トレンドを検知できないといった課題がある。
そこで本研究では、動的モード分解に基づく多変量データ解析手法を提案する。本手法により、主に種間で共通する時間スケールの変動を抽出できる。さらに、貪欲法を用いて重要度を定義することで、特に重要な変動成分を同定する。提案手法を環境DNAデータベースであるANEMONE DB上の沿岸魚類群集の時系列データ(週ごとのサンプリング、約2年)に適用した。その結果、年変動に近い周期変動や長期的なトレンドが重要な変動として抽出された。これらの変動パターンについて、各生物種の生態と比較し、生態学的解釈を行った。
また、群集特性に対する時間スケール依存性を明らかにするため、変動成分ごとの同調性への寄与を評価したところ、同調性への寄与は成分ごとに異なっていた。このことから、群集の同調性などの時間変動特性を解釈する上で、サンプリング頻度や時系列長といったデータ構造が結果に影響する可能性が示唆された。したがって、時間スケールごとの変動特性とそのメカニズムを検討することが重要である。