| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-513 (Poster presentation)
生殖隔離が不完全な近縁種間では、二次的接触などに伴い、種間交配が生じる可能性がある。メスは種間交配に伴う性的ハラスメント、負傷、雑種不稔などにより配偶子、時間、エネルギーを浪費する。強化は、このような非適応的な交配に伴う選択圧が交配前隔離の発達を促進する現象を指し、種分化を完了させる重要なプロセスであると考えられている。強化は局所的な適応進化であるにもかかわらず、交配前隔離や形質置換の分化を複数の同所個体群で比較した研究は限られている。本研究では、タゴガエルがその近縁種と同所分布する個体群2集団、およびタゴガエルの単独個体群2集団を対象として、強化が繁殖コミュニケーションの地理的変異をもたらすという仮説を検証することを目的とした。先行研究では、同所個体群でのみ性的隔離を確認した。さらに、メスの種認識に関わる形質は2つの同所個体群間で異なったことから、強化がメスの配偶者選択に地理的な変異をもたらす可能性が示唆された。本発表では、強化が求愛音の地理的分化を促進するという仮説を検討するため、①同所域における求愛音の形質置換の有無を検証し、②求愛音において分化の生じた形質の特定を試みた。その結果、求愛音における形質置換は1つの同所個体群でのみ確認された。また、形質置換の生じた形質は、先行研究において種認識への関与が示された形質と一致した。加えて、地理的距離および地理的分布(同所/単独)が求愛音の地理的変異にもたらす影響についても検討する。これらの結果は、強化プロセスは種内で一様ではなく、繁殖干渉が繁殖コミュニケーションの地理的変異を駆動する要因になる可能性を示唆する。