| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-520  (Poster presentation)

種間相互作用は温度生理形質に分化を生じさせるか?沖縄諸島のトカゲ属を用いた検証【A】
Do interspecific interactions drive divergence in thermal physiological traits? A test using Plestiodon lizard species from the Okinawa Islands.【A】

*伊與田翔太, 城野哲平(京都大学)
*Shouta IYODA, Teppei JONO(Kyoto Univ.)

形質置換は,競争種と同所的に分布する場合に,資源利用に関わる形質が種間で分化する現象であり,種の共存や多様化を説明する進化メカニズムである。体温が周辺の温度に強く影響される外温動物では、「適した温度をもたらす空間」が重要な資源となり、資源競争の対象となりうる。実際、外温動物の群集では,似た生態を持つ複数の種が同所的に生息する場合、それぞれ異なる温度環境を利用している例が報告されている。こうした現象を説明する仮説として、好みの体温(選好体温)などの温度生理形質が類似した種間で温度資源をめぐる競争が生じ、自然選択を通じて、温度生理形質が進化的に分化するという温度ニッチ分割仮説が提唱されてきた。しかしながら、この仮説は未だ十分に検証されていない。沖縄諸島に分布するオキナワトカゲは、開けた環境に生息し同属種の中でも高い体温を好むことが知られている。さらに、森林環境に生息し、低い体温を好む同属種と同所的に生息している。本研究では温度ニッチ分割仮説を検証するために、オキナワトカゲを対象に、同属種と同所的に生息する5島と単独で分布する4島の個体群間で温度生理形質に形質置換が生じているかを調査した。温度生理形質として選好体温、運動パフォーマンスが最も高くなる体温(最適体温)、80%以上の運動能力を出せる体温幅(最適体温幅)、運動可能な上限・下限体温(臨界上限温度・臨界下限温度)を測定した。さらに各島の温度環境は作用温度モデルを備えた温度データロガーを設置することで評価した。各温度生理形質を応答変数とし、競争種の有無と環境温度、性差を説明変数、系統情報をランダム効果とする系統的一般化線形混合モデルを用いた解析を行うことで、生息地の環境温度の影響や性別の偏り、系統的なバイアスを考慮した上で、同属種の有無が温度生理形質の進化に及ぼす影響を検討した。


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