| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-522  (Poster presentation)

アカネ科サンタンカのゲノム解読とゲノム進化【A】
Genome Sequencing and Genome Evolution of Ixora chinensis【A】

*瓦谷丈琉, 奥野聖也, 伊東明(大阪公立大学)
*Takeru KAWARATANI, Seiya OKUNO, Akira ITOH(Osaka Metropolitan Univ.)

先行研究により、アカネ科サンタンカ属(Ixora)では種間交雑が示唆されている。発表者のこれまでの研究においても、MIG-seqデータを用いた遺伝解析により種間交雑が検出された。本研究では、Ixoraのゲノムを解読し、Reference-guided assemblyの参照配列を構築することを主な目的とした。得られた参照配列は解析精度の向上に寄与し、将来的に遺伝子流動領域の特定や、種間交雑が形質や生態の進化に及ぼす影響の解明に資することが期待される。
本研究では、Ixoraを対象としてショートリードによるショットガンシーケンスを実施し、スキャフォールド配列を構築した。得られたスキャフォールド配列を、GenBank から取得したアカネ科の既知の完全ゲノム配列にマッピングし、その対応関係を可視化した。その結果、単一の Ixora スキャフォールドが参照ゲノム上の複数領域に対応する事例が観察され、染色体再編成や重複イベントの存在が示唆された。
さらに、アカネ科複数種の既知の完全ゲノム配列から抽出したシングルコピー領域を用いて系統樹を再構築した。その結果、先行研究において葉緑体5領域に基づいて推定された系統樹と整合的なトポロジーが得られた。本研究で再構築した核ゲノムに基づく系統樹は、アカネ科内の系統関係を検討する上で有用な基盤情報となる。
本研究ではサンタンカ属の核ゲノムの完全解読には至らなかったものの、ドラフトレベルのゲノム配列を取得し、ゲノム構造比較および核ゲノムに基づく系統解析を実施した。これらの成果は、Ixoraの今後のゲノム高度化および完全解読に向けた基盤データとなるとともに、アカネ科内におけるゲノム構造変化や系統進化の理解に貢献する。


日本生態学会