| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-531  (Poster presentation)

個体の視点に基づく2種系空間個体群動態モデル【A】
Individual-based two species special population dynamics model【A】

*森彩花, 高須夫悟(奈良女子大学)
*Ayaka MORI, Fugo TAKASU(Nara Women's University)

 生物集団の空間分布を陽に考慮する空間個体群動態では、生物個体間の局所的な相互作用により縞模様や螺旋模様などの空間特異的パターンが出現することが反応拡散モデルを用いた数理的研究により示されている。本研究は、生物個体を点で表す点パターンアプローチに基づき、各点が一定のルールで出生・死亡・移動を繰り返すモデルを構築し、個体の視点に基づく空間特異的パターンの生成条件を探る。
 各点は(x, y)座標、種属性(0または1)および点の混み合い度を表す局所密度(種内・種間)を持つ。点同士の相互作用は局所密度に依存すると仮定し、各点の出生率と死亡率は局所密度の関数で与える。局所密度に依存する両種の出生率と死亡率は、両種が存在しない状態と共存する状態が共に局所的に安定な双安定性を示す関数を用いる。また、各点は種属性に応じて移動する。本モデルは連続時間上で各点が確率的に出生・死亡・移動を繰り返す確率論的モデルであり、Gillespieアルゴリズムを用いてシミュレーション解析を行う。
 両種の移動率が同一の場合、移動率が高ければ両種の空間分布は完全空間ランダムに近くなり、移動率が低ければ種0同士ならびに種属性を区別しない点は集中分布を示した。また、両種の移動率が異なる場合、種1の移動率が高い場合の方が、その逆と比較して、種0同士、異種同士、種属性を区別しない点は強く集中分布を示した。
 本確率論的点パターンモデルは、モーメント法を用いて点密度とペア密度の解析モデル(積分微分方程式)として記述することができる。導出した解析モデルから空間特異的パターンの出現条件を導くことを試みる。個体の視点に基づく本研究は、ある意味、個体ベースの視点から空間パターン生成条件を探るものである。従来の反応拡散モデルとの比較についても議論する。


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