| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-534  (Poster presentation)

アミメアリの協力・非協力系統の幼虫形態比較【A】
Morphological differences between cheater and worker larvae in the ant Pristomyrmex punctatus【A】

*坂中誠, 土畑重人(東京大学)
*Makoto SAKANAKA, Shigeto DOBATA(University of Tokyo)

社会性昆虫であるアリは、同一のゲノムから女王・ワーカーという異なる表現型が生じる表現型多型の代表例である。このカースト表現型分化は幼虫期の社会環境に応答したエピジェネティック制御によると考えられているが、その発生過程には不明な点が多い。特に、コロニー内で両カーストが同時に分化するアリにおいては、将来のカーストがあらかじめ特定された幼虫を発育初期から追跡することは困難である。そこで本研究では、カースト表現型が遺伝的に固定した系統を持つアミメアリ(Pristomyrmex punctatus)に着目した。本種の協力系統はワーカー型の成虫形態を示す一方、非協力系統は近縁種の(職型)女王と類似した成虫形態を示すことから、本系はカースト分化が形態的に明瞭になる前の幼虫発生過程を比較するモデルとして有用であると期待される。本研究では、まず協力系統と非協力系統の幼虫形態の分化がみられはじめる発生ステージを、形態計測によって推定することを目的とした。発表では、協力系統・非協力系統それぞれの幼虫が巣内で多数生産されるように調整した実験コロニーを作成し、得られた各ステージの幼虫の形態測定を行った結果について報告する。測定箇所は、体長、頭幅、腹幅の3ヶ所である。また、先行研究に基づき、定性的な形態指標によって1齢、2齢および終齢幼虫を判別した。1齢幼虫においては、両系統に形態的な差異は検出できなかったのに対し、終齢幼虫では、非協力系統の方が、協力系統よりも頭幅と体長のいずれも有意に大きいことが示唆された。したがって、表現型の分化がみられるのは、その間の齢であると推定された。


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