| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-547 (Poster presentation)
生物の構造や振る舞いを模倣するバイオミメティクスは、ヘビ型やムカデ型ロボットの開発において重要な役割を果たしてきた。多足類の一種であるキシャヤスデ(Parafontaria laminata armigera)は脚を波のように同期しつつ、胴体はブレず歩行する。本研究の目的は、3種類の異なる床材におけるヤスデの脚の動きを観察し、環境に応じた歩行パターンを再現する数理モデルを歩行のメカニズムを推定するため提案するとともに、将来的な多足歩行ロボットへの応用可能性を検討することを目的とする。
まず、ヤスデの歩行を記録・解析した。ヤスデは長野県入笠山で採集した個体を用いた。3種類の異なる床材上での歩行をビデオカメラを用いて側面から記録した。各脚の先端、頭部および尾部を含む複数の部位を深層学習ベースのソフトウェアであるDeepLabCutを用いてトラッキングした。脚の位相の時系列データを解析した結果、脚によって形成される波の数が、床材によって変化することが明らかとなった。
次に、環境に適応的な歩行パターンを再現し、歩行メカニズムを推定するために数理モデルを提案した。具体的には、蔵本モデルの相互作用項に位相シフトパラメータを導入し、実験結果を用いてそのパラメータを推定した(Yoshikawa and Aihara, arXiv 2025)。数値シミュレーションの結果、異なる床材において、観察された波数を再現できた。