| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-549  (Poster presentation)

火山噴出源からの距離によって埋没土の特性は異なるのか?【A】
Effect of Distance from the Volcanic Eruption Source on the Characteristics of Buried Soils【A】

*杉浦和音(酪農学園大学大学院), 畑中朋子(酪農学園大学), 中谷暢丈(酪農学園大学大学院, 酪農学園大学), 水野直治(元酪農学園大学), 保原達(酪農学園大学大学院, 酪農学園大学)
*Aine SUGIURA(Graduate School, RGU), Tomoko HATANAKA(RGU), Nobutake NAKATANI(Graduate School, RGU, RGU), Naoharu MIZUNO(Formerly at RGU), Satoru HOBARA(Graduate School, RGU, RGU)

多くの炭素を長期間蓄積可能な土壌は、炭素循環を考えるうえで重要である。しかし、土壌深層における有機炭素の蓄積機構については未解明な点が多い。火山活動が活発な北海道には火山灰を母材とする土壌が広く分布し、複数回の噴火により累積された土壌断面中には、表層土が埋没した埋没腐植土が存在する。埋没腐植土は多量の有機炭素を長期間保存しているが、その蓄積要因は十分に明らかにされていない。火山灰は噴出源からの距離に応じて堆積量や鉱物の性質が異なるため、これらの違いが埋没腐植土における有機炭素の蓄積性に影響を及ぼす可能性がある。そこで本研究では、噴出源からの距離に伴う埋没腐植土の有機炭素特性の違いを比較し、有機炭素の長期保存に影響を与える要因を明らかにすることを目的とした。樽前山の火山灰のうちTa-c火山灰およびTa-d火山灰を母材とした埋没腐植土を対象とし、それぞれcA、dAとした。また、単一の火山灰によって埋没したものを選定し、胆振地方の8地点で土壌採取を行った。試料は含水率、ピロリン酸抽出性Al(Alp)、53 µm未満の鉱物―有機複合体中の炭素濃度(MAOM-C)と鉱物の元素組成を分析し、深度を測定した。結果、全体としてAlp、MAOM-C、深度は噴出源からの距離に伴い変化した。また、含水率、MAOM-CおよびAlpは深度が深いほど増加する傾向がみられた。特に、埋没期間の長いdAではMAOM-Cと深度の間に正の相関関係が認められた。含水率が高い深層土壌では嫌気的条件により微生物活性が低下し、有機物分解速度は遅くなると考えられる。一方、cAでは距離に伴う鉱物組成の変化がみられ、MAOM-CはAlpと正の相関関係が認められた。このことから、cAでは有機炭素が火山灰中のAlにより保持されている可能性が示された。以上より、噴出源からの距離と有機炭素の関係は深度の影響を受けており、埋没腐植土における有機炭素の長期蓄積は、埋没プロセスおよび母材中の金属と関係している可能性が示唆された。


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