| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-550 (Poster presentation)
海洋生態系において、藻場は炭素循環の重要な役割を担っている。特に、藻場から流出した海藻・海草類は、ブルーカーボンとして二酸化炭素の隔離に貢献していると考えられているが、系外隔離の定量的な評価は進んでいない。そこで、本研究では、その評価の一環として、藻場から流出し堆積した海藻・海草類の時空間変動を把握するとともに、主要種の分解率を計測した。北海道東部の厚岸湾の7地点において、2024年5月から概ね一カ月毎に、底引き網を用いて流出・堆積した海藻・海草類を採取し、種ごとに乾燥重量を測定した。採取された海藻・海草類全58種のうち、採取量の多い上位7種と藻場を構成する主要な4種の計11種について、堆積量の時空間的な変異を分析した。また、底曳き調査で頻繁に採取されたマコンブとスガモについて、20 mmメッシュのカキ籠と0.4 mmメッシュの洗濯ネットに入れて海底に設置し、7週間の生物量の変化から分解量と分解過程を評価した。底曳き調査より、厚岸湾より沖合へ流出する主要な海藻・海草類はコンブ類とスガモであることが示された。コンブ類が最も多く採取され、堆積量は冬に有意に増加した。スガモは恒常的に採取され、堆積量について時空間的な有意差は認められなかった。他種の堆積量は地点間や年間で変動し、沖合の地点ほど少なかった。分解実験では、マコンブがスガモより、カキ籠に入れたサンプルが洗濯ネットに入れたサンプルよりも有意に速く分解された。これより、海藻・海草類は流出の過程で大型植食性動物(0.4 mm以上のサイズ)による摂食・分解の影響を受けること、スガモはコンブ属と比較して分解率が小さく、ブルーカーボンとして炭素の系外隔離に貢献している可能性が示された。