| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-574 (Poster presentation)
近年、伐採されずに放置された竹林の拡大により、民家への侵入や生物多様性の損失などの問題が顕在化している。こうした背景から、竹林の拡大実態や、皆伐を含む管理手法の効果を検証する研究が進められてきた。皆伐後の竹林では林内環境が大きく変化し、再生するタケの成長やバイオマス形成にも影響を及ぼすと考えられる。とくに地表付近の地温は、地下部の活動や地上部の成長に関わる重要な環境要因の一つである。しかし、皆伐竹林における地温環境の特徴を定量的に整理し、再生したタケのバイオマスとの関係を検討した研究は少ない。
そこで本研究では、千葉県佐倉市小竹のモウソウチク(Phyllostachys edulis)林を対象とした。2023年10月に10m×20mの面積を皆伐した。その後、この皆伐区に生えてきたモウソウチクのバイオマスと地温の分布を調査した。調査区内を、隣接する竹林によって日照条件が相対的に劣る南側と、良好な北側に分割し、各6地点に地温計を設置して、2025年4月~2026年1月まで表層1cmの地温を1時間ごとに温度ロガーを用いて測定した。得られた地温の季節変動を正弦・余弦関数で表現した線形混合モデルを用いて解析した。
その結果、再生したモウソウチクのバイオマスは、2024年および2025年の両年において南側が北側よりも小さかった。季節変動を考慮した年平均地温は、調査区の南側が北側よりも約0.35 ℃低く、有意な差が認められた(95%信頼区間:-0.66~-0.04 ℃,p = 0.0299)。さらに、南側と北側の地温差には季節性がみられ、夏季よりも冬季に差が大きくなる傾向が確認された。これらの結果は、帯状皆伐後のモウソウチク林において、皆伐によって生じた林内微環境の不均一化、とくに地温条件の差が、再生するタケのバイオマス形成およびその空間差に影響を及ぼす可能性を示唆している。