| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-575 (Poster presentation)
海藻藻場では多くのCO₂を吸収した海藻が枯死したのちも海底に残留することで炭素が貯留・隔離されるが、海岸などに漂着した場合は速やかに分解され、大気中へのCO₂放出や異臭等の問題を引き起こしてしまう。そこで本研究ではこのような問題を解決するため、炭素の長期間隔離への貢献が有望視されているバイオチャーに着目し、海藻の漂着個体から作出したバイオチャーを日本の国土の約7割を占める森林の土壌に施用した際の影響を評価した。
代表的な森林であるコナラ林(里山林)、スギ林(人工林)、クロマツ林(海岸林)から土壌を採取し、日本近海に多く生息しているアラメから作出したバイオチャーを施用して、暗条件25℃にて28日間の室内培養実験を行った。比較対照として市販の木質およびもみ殻バイオチャーを用いた。培養後の土壌について、電気伝導度(EC)、pH、無機態窒素濃度、微生物バイオマス、土壌呼吸速度、土壌酵素活性を測定した。
アラメバイオチャーを施用した場合、すべての土壌でECが上昇し、酸性のコナラ林とクロマツ林の土壌ではpHが上昇した。また、窒素の含有量が少ないスギ林とクロマツ林の土壌では、硝酸・亜硝酸態窒素の増加がみられた。これは、アラメがミネラル成分や窒素を多く含む性質に起因すると考えられる。微生物バイオマスにはバイオチャーの種類による違いはみられなかったが、土壌呼吸速度は酸性度が高いコナラ林土壌においてのみアラメバイオチャー施用時に低下しており、pHの上昇が影響を及ぼしたことが示唆された。また、アラメバイオチャー施用により無機態窒素が増加した土壌では、窒素獲得に係る土壌酵素の活性が低下した。以上の結果から、森林土壌の性質によってバイオチャー施用時の影響は異なり、アラメバイオチャーは土壌pHの低下を抑制する効果が高く、窒素含有量が低い土壌に窒素を供給しうることがわかり、植物の生育促進に寄与する可能性が示された。