| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-576 (Poster presentation)
本研究では、発達段階の異なる冷温帯林において、標準化された手法であるティーバッグ法とセルロースフィルター分解試験をおこなった。林分構造の違いが土壌の有機物分解能に与える影響を比較検証することを目的とした。
調査地は、長野県および山梨県のミズナラ二次林と、ウラジロモミが混交する針広混交林の3地点とした。分解試験は2024年6月から9月にかけておこなった。ティーバッグ法では標準的な緑茶・ルイボスティーに加え、ほうじ茶、プーアル茶、ウーロン茶、紅茶、アップルルイボスティーを用いた。ティーバッグを土壌に埋設し、長期蓄積能(S)と初期分解速度(k)を算出した。また、セルロースフィルターを落葉層と土壌層に埋設し、分解率を算出した。併せて、地温および土壌の三相分布、pHの測定をおこなった。
ティーバッグ法の結果では、ミズナラ二次林からウラジロモミ混交林へと遷移が進むにつれ、長期蓄積能(S)が低下した。地温が高いほど分解率も高く、常緑・落葉といった樹種特性による光の減衰率が林床の分解活性に寄与していることが示唆された。セルロース分解試験では、遷移初期ほど落葉層での分解が活発であったが、土壌層では90日後に落葉層と反対の結果を示した。落葉層では供給されるリターの質や量が反映されるのに対し、土壌層では土壌基質そのものが分解の規定要因となっている可能性が高い。
以上の結果から、森林の発達段階に応じた優占種から供給されるリターの違いが土壌の有機物分解過程に影響を与え、林分間で分解活性に違いが生じたと結論した。