| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-577  (Poster presentation)

マングローブ堆積物における溶存無機炭素生成ポテンシャル【A】
Production of dissolved inorganic carbon in mangrove sediments【A】

*月本将太郎, 吉竹晋平(早稲田大学)
*Shotaro TSUKIMOTO, Shinpei YOSHITAKE(Waseda Univ.)

マングローブ林は、純一次生産量が高く従属栄養生物呼吸量が低いため、生態系純生産が大きいとされる。しかし有機物分解で生じたCO2は水中に溶解し、溶存無機炭素(DIC)として潮汐に伴い系外へ流出する。さらに冠水時の嫌気条件下でもCO2(DIC)生成は進行し、林床に多数存在するベントスの巣穴がDICの流出経路となる可能性が指摘されている。しかし表層~深層堆積物のDIC生成や流出、そしてベントス巣穴の関与は不明な点が多い。本研究は、堆積物のDIC生成ポテンシャルを定量し、さらにベントス巣穴の特性と巣穴内のDIC挙動を明らかにすることを目的とした。これにより、巣穴からのDIC放出の重要性と、深層由来のDICが流出に寄与する可能性を検討した。
沖縄県石垣島がぶるまた川マングローブ林の中央に位置する中州を調査地とした。巣穴の形状や体積等を明らかにするため、樹脂で型取りを行った。また巣穴内の DIC挙動を明らかにするため、干潮時に巣穴内の水を経時的に採取し、DIC濃度を測定した。さらに堆積物のDIC生成ポテンシャルを明らかにするため、複数の地点(中洲の川沿い・中央)で表層(0-5 cm)及び深層(90-100 cm)の堆積物を採取し、密閉容器に入れて好気条件及び嫌気条件で培養した。一定時間間隔で採水してDIC濃度を測定し、その経時変化からDIC生成速度を算出し、堆積物の深度及び酸化的/還元的条件による差を評価した。
巣穴は多様な形状が確認され、地下1 mまで達するものも確認できた。また巣穴内部のDIC濃度は顕著な増加を示さず、巣穴入口を介したDIC流出は限定的であると考えられた。堆積物のDIC生成速度は、好気条件下では表層で大きく、川沿いの表層が最大であった。一方嫌気条件下では、深層のDIC生成速度は表層に匹敵しており、表層より大きくなる地点も確認できた。以上より、マングローブ堆積物における有機物分解に伴うDIC生成は表層に限らず深層でも起こること、そしてその量は無視できない可能性が示された。


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