| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-586 (Poster presentation)
都市における野生動物との軋轢の緩和は、地域住民の生活の質を維持する上で欠かせない課題である。特に、近年世界的に増加している縮小都市では、対策に掛けられる人員と資金が今後更に制限され得るため、今後軋轢が生じ得る環境または地域で重点的に管理を行うなどの予防的管理の重要性が高まっている。しかし、空き家軒数の急増など縮小都市特有の要因が、都市における野生動物の分布にどのように関係しているかは未明である。そこで、本研究は都市における野生動物と人の共存を目的に、野生動物の分布を規定する要因を空き家に着目して明らかにした。
北海道十勝地方の帯広市、音更町、および幕別町の市街地からランダムに選択した32グリッド(500m×500m)に自動撮影カメラを4基設置した。超音波録音機は、自動撮影カメラの設置地点の内、機器が設置可能な16グリッド、各3箇所に設置した。これにより確認された計7種の野生哺乳類のうち、最も多く撮影されたアカギツネと、コウモリ類(森林性種と開放空間種)を代表種とし、N-混合モデルを応用して撮影頻度と活動量に影響する物理環境を予測した。アカギツネの撮影頻度と森林性コウモリ類の活動量は、共に空き家数と正の相関を示し、その効果量は植被率と同程度であり、空き家が野生動物にとっての都市における新たな生息地となり得ることを示唆する。空き家は、都市の縮小に伴い利便性に関わらず地域全体で増加すると予想されている。本研究は、空き家の増加は、今後人間活動が活発な地域への野生動物の拡大の可能性を示唆する。また、縮小都市においては、野生動物との軋轢の予防的管理として、空き家の管理の重要性を指摘する。